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CS TIMES


ホンダN BOXカスタム 試乗記
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    ホンダから年末に登場した新型軽自動車「N BOX」に試乗した。このクルマはダイハツがタントで開拓した市場であるが、その後スズキがパレットを投入。OEM車を除くと、3番目にホンダもこのカテゴリに参戦したということになる。N BOXから見えるホンダの答えは、やっぱり日本市場は重要。そして、軽自動車は無視できなかった・・・というものである。ホンダは販売台数の多くを北米を中心に海外で稼いでいる。日本市場の占める割合はトヨタや日産に比べて少ない。そのため、海外が好調な時期にはホンダの幹部は日本市場を軽んじるかのような発言をしていたし、実際に日本向けのラインナップも魅力の少ないものになっていった。中でも日本専用である軽自動車については、世界規模で見れば台数は少なく、ホンダにとっては魅力的に映らなかったようで、「軽自動車は儲からない」といったことを隠さずに言っていたし、ホンダは普通車と同じクオリティで軽も作ってきたが、もうそんなことはやめると受け取れる発言をしたこともある。

    ■ごめんなさい・・・やっぱり軽は大事でした

    先代ライフの前期型で私は感心した。当時のライバルの一歩先のクオリティを持っていた。しかし、それが頂点であり、その後はコストダウンを重ねるばかり。現行型は先代のコストダウンバージョンでしかなく、その分ライバルより少し価格を低めに設定すれば大丈夫とホンダは読んだ。しかし、その読みは外れた。ダイハツを筆頭にスズキもその底力を発揮して、メカニズム、燃費、クオリティすべてにわたってホンダは2世代くらいの差を付けられてしまった。こうなると、値段が少々安いだけではホンダの軽を選ぶ人はいない。その中での世界的な不況。やはり日本での商売も無視できなくなってきた。その答えが軽に力を入れるというものだ。反撃第1弾「N BOX」を見ていると、ホンダの「認識が甘かった・・・」という声が聞こえてくる。

    ■入れられるものはなんでもいれました!!

    N BOXはもったいぶったところがないクルマである。いわばメーカーが勝負に出るときのクルマだ。近年こうしたクルマは先代の通称ゼロクラウンくらいではなかったろうか。なかなかこうしたクルマは出てこないものだ。具体的にはプラットフォームから一新。それだけでなくS07A型というエンジンも新開発。ライフやゼストのP07A型エンジンは、登場から8年目。現在の感覚から言えば、まだ大幅改良で行ける年数である。しかし、ホンダはまっさらなエンジンを用意した。さらに、軽としては初のCVTも採用している。パワートレインはすべて新しいものとなった。それに、流行に乗ってようやくアイドリングストップを採用。そして軽としては初めて全車にVSAを装備するなど一歩先行く安全性を獲得している。また、ホンダがなぜか嫌っていたプッシュエンジンスタートもようやく装備した。それに軽では非常に珍しいクルーズコントロールを装備したモデルまである。

    ■クラストップのつもりが・・・悔しい。

    刷新したパワートレインのおかげで、このクラスではもっとも重い重量でありながら燃費はJC08モードで22.2km/Lと2015年基準をクリアしたのはホンダの執念である。プレスリリースでもクラストップの燃費を謳っているが、2011年11月末との但し書きがある。末というのはおそらく28日を意味するはずだ。ホンダとしてはこのクルマをクラストップの燃費として出そうと思っていたに違いないが、なんと発表の30日より1日前(29日)にダイハツがタントに話題のe:Sテクノロジーを採用し、24.8km/Lという燃費を達成してしまった。なんとN BOXは1日すら天下を取れなかったのである。

    ■ECONスイッチで性格が変貌!!

    N BOXは2つの顔を持つと言っても良さそうだ。そして、その乗り味は3気筒エンジンでなければ軽だとは思えないものである。冷静に比較してフィットクラスのクルマと互角か、それ以上にコストがかかっていると感ずる。それもそのはず、フィットより価格は高いのだ。冒頭でホンダは軽は軽らしく他社と同じように軽基準で行くとの主旨を発言したことがあると言ったが、このクルマは古き良き時代のホンダの軽が帰ってきた印象。クルマ作りに「軽だから」という言い訳は見えない。ホンダの代表作にしたいという熱意が伝わる。もしかすると、海外への輸出も進出も考えているのかもしれない。ただ、地域柄タイヤはブリヂストンのブリザックREVO2という高級なタイヤが付いていたため、乗り味については夏タイヤだともう少し安っぽい印象を受けるかもしれない。

    ライバルのタントと一番違うのは、バスに乗っているような感覚が少ないことだ。背はバモスよりも高く、ガラスエリアも大きいのに、そうした印象を受けないのは、ドライビングポジションの設定にもあるだろうが、乗り味から受けるものも大きい。ホンダのミニバンに共通する低重心というコンセプトをN BOXにも投入しているのがわかる。動力性能はNAエンジンでも市街地では思ったほどパワー不足を感じない。しかし、実用域での話しであり、60キロを超えると加速は苦しくなる。ただ、ECONスイッチがONの状態での話しで、帰りにOFFにしてみると、その性格は変貌し、驚いてしまった。突然昔のホンダの軽のように軽やかに高回転まで回り、非常に元気のいい走りを見せてくれるのだ。行きと帰りでは違うクルマに乗っているかのような感覚になった。それほどパワーを抑えた走りをして、燃費を稼いでいるということだろうが、エコがさかんに叫ばれる中にあっても、プリウスのパワーモードにも言えるが、元気の良い走りができるモードもあるのは悪くないと思う。ただし、ECONをOFFにするとアイドリングストップは作動しない。

    ■価格は高め

    N BOXは価格もライバルより高めである。一番ベーシックなモデルでも124万円。ライバルよりも10万円は高い。しかし、比較して乗ってみればこの差は納得できる。また、VSAなどの基本装備の高さもあり、それほど高くはない。市場もそれはよく理解しているようで、すでに27,000台の受注を得ているという。

    ■おもしろくはないが、高級な道具である

    ホンダらしさという点では、センタータンクレイアウトや、普通車のメーカーが作る軽という意味で、クオリティの高さなど、独自性は認められる。ただ、よく言われる走りの楽しさというのは感じられない。ホンダはすぐそこに持っていきたがるが、このクルマの場合にはそれは不要である。ただ、ダイハツタント、スズキパレットよりも上等な商品であることは手に取るように伝わる。高級な道具として求めれば後悔しない1台であるし、個人的には今の軽自動車の中でイチオシである!最後にホンダに要望であるが、カスタムの外観はいかにも下品である。標準仕様の品の良さと比べたら同じクルマに見えないほどである。せっかくターボエンジンを作ったなら、標準仕様にも設定して欲しい。そう思っている人は意外と多いと思う。

    |20:56| Honda | comments(0) | trackbacks(0) | posted by carstadium ログピに投稿する
    エコカー補助金・新エコカー減税
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       新エコカー補助金がスタート。昨年好評だった補助金が復活した。今回の補助金は12月20日以降に登録されたものが対象で、とんとん拍子の決定だったため、直近に購入した人にとってはおもしろくない話となったが、あまり論議が長引くと買い控えにもつながるため致し方ない面もある。今回の補助金は乗用車では、軽自動車で7万円、それ以外の登録車が10万円となっている。前回は登録から13年以上が経過した古いクルマをスクラップにしてエコカーを買えば、補助金が25万円と割り増しされたが、今回は一律10万円である。中古車業界からの割安な中古車減少に対する懸念の声に配慮したと言われている。

      近年の景気悪化や震災復興の足として、中古車の需要は増えている。まだ使えるクルマを廃棄するのはエコの精神に反するかもしれないし、クルマを趣味のものとして見るとマニアの間では、まだまだ価値のあるクルマがスクラップにされることは大変惜しい面もあるため、私は今回の補助金はわかりやすくて良いと思う。なお、予算は3,000億円で期間は2013年の1月末までの約1年間となっているが、予算が無くなり次第終了となる。国は100万台という台数を見込んでいるので、対象車が前回より狭い点を考えれば、1年近くは持つと思われる。

      今回の補助金の対象になるのは、2012年3月〜4月末に終了予定だったエコカー減税対象車のうち、75%か100%減税のクルマ。前回は50%減税でも出ていたが、今回は出ない。そのため、4WD車など補助金の対象から外れるケースが増えている。ただし、現行の減税で50%減税車であっても、2015年度燃費基準を達成(新エコカー減税対象車)していれば補助金が出るという複雑さもある。ただし、その例外にあるのは数えるほどの車種・グレードで、今のところ三菱eKワゴン(日産オッティ)の2WD-5速MT車、スズキアルト(マツダキャロル)の2WD-4速AT車、ホンダCR-Vの2.0L(20G)くらいである。

      新エコカー減税に触れたところで、引き続きその話題に移るが、現時点で判明した部分で解説すると、来年度の減税は基準がすべてJC08モードを利用した2015年度燃費基準による。そのため10・15モード燃費しか表示されていない車種は対象外である。2015年基準達成は、2010年度燃費基準+25%と同等か、やや厳しいというのが目安となる。現行の減税で75%減税を達成しているクルマであればJC08モード燃費の取得とあわせて若干の改良で対象になる可能性があるが、50%減税車については、かなり厳しい。そのため、減税は3年間続くため、その間の改良が各メーカーで活発になるだろう。具体的にはマツダならスカイアクティブをアテンザやプレマシー、ビアンテなどに拡大採用するだろうし、比較的手軽に数値を乗せることができるアイドリングストップシステムの採用車は、もっと大きなクルマでも拡大していくだろう。また、ミニバン・SUVなど重量級のクルマではクリーンディーゼルの設定車も増加するものと思われる。そうした意味では、楽しみな面もある。

      また、新減税ではこれまでハイブリッドやEVなどに限られていた免税車種が通常のガソリン車にも適用される。これは、マツダのスカイアクティブ、ダイハツのe:Sテクノロジーなど既存のガソリンエンジンでも革新的な技術や、地道な努力の積み重ねで達成しているハイブリッドカー並みの燃費に配慮したもので、2015年基準を+25%で達成すれば免税となるのはユーザー側からしても選択肢が増えて良い。また、こうすることでハイブリッド一辺倒の低燃費化に多少は歯止めがかかり、多種多様な燃費達成の方向性の道が開かれる点でも、日本の自動車技術の進化にとって歓迎すべきことである。この他の減税率については、2015年基準達成で50%減税、+10%達成で75%減税となっている。

      この新エコカー減税と、新エコカー補助金はまったく別のものとして扱われるため、2012年4月以降は補助金は出るが、減税は受けられないというケースが出てくる(逆はない)。そのため、4月からは各社燃費関連で改良ラッシュが到来するものと予測される。
      |22:17| 週刊CS TIMES | comments(1) | trackbacks(0) | posted by carstadium ログピに投稿する
      税負担の一律議論に疑問
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         10月から急に個人的な都合で忙しくなり、日々の更新で手一杯となり、こちらにまで手が回らなくなってしまい、3日坊主で「週刊CS TIMES」も終わってしまいました。予感はしていたものの、情けない限りだと思っております。

         最近、いろいろなクルマに触れる機会が増えて、気づいたことがありますが、ガソリンの給油ランプが付いているクルマによく出会うということです。ガソリン価格も日々変化していますし、このご時世満タンにした時の精神的な負担感が大きく、みなさん少しずつ注いで乗っているのかなと思います。燃費のことも考えているのかもしれません。地方では日常の足としてクルマは必須のものであり、決して贅沢品ではありません。乗っているクルマも高級車というわけではなく、実用車や軽自動車が中心です。その上に地方では失業や賃金カットが相次ぎ、都会と比較するとその生活コストの差以上に低い賃金で働く人が多い実態は都会ではあまり知られていないと思います。

        そうしたことからも、自動車関連の税負担の低減は自動車業界のためというより、ひとつの生活保障として必要であり、震災復興のための足として使う人や、一定の年収を下回る場合には車検時の重量税の低減はもとより、毎年の自動車税の減税も必要であると思います。また、現在13年を超えるクルマには自動車税が増税されていますが、これは廃止すべきでしょう。古いクルマを好きで乗っている人などほとんどおらず、だいたいは次のクルマが購入できない人という実態があります。

        ですから、逆に新車を購入できるくらいの収入があるという点で、取得税に関しては継続すべきと思います。高額車になればなるほど高くなるこの税金はある意味で消費者に選択の余地があり、経済的な余裕のある人に負担を求めるという点で理にかなっていると思うからです。

        クルマの車齢は新車から平均7年になったといわれていますが、今ではそこからさらに中古車として7年くらいは使われることが増えていると思います。そうしたクルマを使う人はクルマに対して知識は浅く、できる限りお金はかけたくない。そうしたことから日々の点検、消耗品の交換もできる限りしないで済むならしていない。車検時でも検査に通ればそれでいいということで、乗りっぱなし、程度の悪い車も増えていると思います。結果クルマそのものの安全性も下がり、高速道路上で故障したり、タイヤがバーストするなどして停止。高速道路での人身事故の増加にも繋がっていると思います。

        こうした社会情勢をよく見ながら、自動車関連の負担軽減は一律に無くす無くさないといった話ではなく、取れるところからは取り、そうでないところからはクルマの保守のためにお金を使ってもらえるような仕組みをぜひとも考えていただきたいと思います。政治家の消費拡大のための減税議論(クルマを買わせるため)という感覚が、一般市民とズレていると感じざるを得ません。購入時の負担軽減よりも、日々の維持費を低減する方が長期的な視点での自動車産業の活性化につながると私は考えるところです。
        |11:04| 週刊CS TIMES | comments(5) | trackbacks(0) | posted by carstadium ログピに投稿する
        週刊CS TIMES 2011年10月 2週
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          【HiTS EYE -フィットが10周年!!-】

          "今週の新車"はマイナーチェンジ以上を扱うことにしているためお休みである。

          今週はホンダからフィットの10周年記念特別仕様車が発売された。正確には第2弾であり、この度は人気のハイブリッドにも設定されるなどしているのだが、驚くのはフィットがデビューして10年という年月の方である。フィットが出た頃は「CAR STADIUM」を始めてまだ2年目の頃。私も若かったものだ。その頃は今でも記憶に強く残っているが、コンパクトカーが花盛りといった感じで、時代の流れが小さなクルマへと流れていく寂しさや、どこかクルマファンとして、あるいはセダン好きとしては不満のような気持ちを持っていたことも事実だったが、それでもワクワクしていた。

          それまで小型車といえば値段は安いが、夢も希望もないクルマが多く、新規格となった軽自動車の方が魅力的な頃もあった。しかし、トヨタがヴィッツを投入して以降、日本のコンパクトは変わり、急激にクオリティが上がったのはご存知の通りである。当時のコロナよりもヴィッツの方が体感的に静かで乗り心地も良かったくらいで、それはそれはインパクトは大きかったものである。この価格でこんなに良い物が買えていいのだろうか?という驚きとワクワク。そんな中で少し遅れを取っていたホンダが自信満々で投入したのがフィットだった。このクルマ、直前まで「フィッタ」というネームで出る予定だったのが、北欧の国ではこのフィッタという単語がイカガワシイ意味も持つことが判明し、急転直下ホンダのコンパクトカー「シティ」のグレード名でもあった「フィット」に変更になった逸話を知る若者は、そろそろ少なくなっただろうか。今でもはっきりと覚えているが、これほど売れると直感的に思ったクルマもなかった。「CAR STADIUM」11年の歴史を振り返って、2万台クラスになれると思ったのは、このフィットと、3代目プリウスだけであろう。そのうち、30型プリウスは予想を大幅に下回る価格設定がそう確信する最大の要因であり、クルマの完成度、コンセプト、価格も含めてトータルで直感できたのは唯一かもしれない。

          フィットはまず、それまでのコンパクトカーよりも少し大きい存在感があった。それは今もフリードなどで続く、半ライス無料商法である。ライバルよりも少し大きめにして価格は同じくらいにする。フィットはその走りであり、どう見てもシビッククラスに見えたものだ。そして今では珍しくないが、そのシートアレンジなどの実用性の高さ、さらには耳を疑った燃費。2001年に23.0km/Lという燃費である。今でも1.3L車でこの数字は良い方である。そもそもあの頃、ハイブリッドでもなければ20.0を超えるクルマなどなかったに等しい。それを3.0もオーバーする驚きは今度のトヨタアクアが40.0km/Lを突破することの比にはならない。10年先を行くクルマ作りをしていたと言える。それでいて価格は今もよく覚えているが、量販グレード「A」で114.5万円。第一印象から思う価格より20万円くらい安い感覚があった。その後は説明するまでもない。売れない理由を探すことが難しいクルマも珍しい。

          あれから10年。フィットはコンパクトカーの定番として、今でも国内販売のベスト3の常連。1万台を割ることはほとんどない。にも関わらず、完全なるライバル車は出てこない。ここに実はフィットの異質さがある。なぜこれほどまで売れるクルマにぶつける車種を出してこないのか。いわば、タントに対するパレットのような存在のクルマが出てこないのか。それは、世界規模で見ればフィットのようなタイプのクルマは売れないということである。逆に言えばフィットというクルマは完全に日本を向いた日本人のためのクルマなのだ。日本での販売台数よりも世界での販売を重視する流れである以上、例えばマツダデミオが良い例であるように、ボクシーで実用性を前面に押し出したコンパクトカーは商用車のように思われて、特にヨーロッパでは苦戦する。ファッショナブルに見える日産キューブですら惨敗に終わった。デミオがよりパーソナルな路線に行ったのはそのためである。そう考えると日本メーカーの商品企画というのは寂しい。フィットが売れているのは、日本のための商品を作っていることが評価されていることであり、その点を見直すべきであろう。

          しかし、10年が経過してコンパクトカーは良くなったのか。2001年にフィットが登場し、次の年に2代目キューブ、デミオが登場する。どれもオリジナリティがあってクオリティも高く、価格も魅力的だった。しかし、思えばあそこが頂点だったような気もする。あそこで日本のコンパクトカーはひとつの完成とされてしまった。それ以来は引き算のクルマ作りである。そこからどう安く利幅を上げるかだけの競争だ。結果的に値段は上がるばかりでクルマとしての魅力は落ちた。ワクワクすることもない。今、魅力的なクルマも確かにあるだろう。だが、思わず欲しくなるような普通のクルマがないのは大きな問題である。あの頃できていたことが、なぜ今はできないのか。もどかしい気持ちだけである。


          今週はこれだけ」

          |00:59| 週刊CS TIMES | comments(0) | trackbacks(0) | posted by carstadium ログピに投稿する
          ダイハツミライース 試乗評
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            ダイハツの新型軽自動車「ミライース」に試乗したのは、9月末のことであった。最近はあまり乗りたいと思うクルマもないため、話題性のあるエコカーのみに触れる機会が多くなっているのだが、正直それほど期待していなかった。まず、私の中にいらない先入観があった。先のモーターショーのコンセプトとはまったく変わってしまった上に、「ミラ」というオバサン御用達イメージのネーミングが付いた。同時にLEDリヤコンビランプくらいの演出はあるものの、スタイリングは平凡なミラである。ボデーカラーもコストの安いソリッド系中心。見た目から伝わる先進性やクオリティの高さはないに等しい。

            ただ、価格はその分安い。廉価グレード「D」は79.5万円という低価格を実現。ほんの少し前まで軽でCVTが選べるのは上級モデルだった。それにアイドリングストップが搭載されるとなると、そのまた上位モデルといった感覚で価格も110万円前後は普通。それを考えると、わずか1年足らずの間にCVTでアイドリングストップも付いたクルマが30万円くらい価格が下がったと言え、これはプリウスが205万円で出てきたことよりもインパクトがあると個人的には考えている。しかし、「D」はあくまでビジネスカーであり、ホデーカラーもソリッドホワイトのみ。電気式ドアロックはもちろん、スピーカーすらないというから一般ユーザーが乗るには非現実的である。販売の中心は「L」か「X」になると思われるが、そうすると価格が10万円ずつ上がっていく。それでも「X」が100万円を切る99.5万円で税込なのだから、十分に魅力的なのだが、+10万円+10万円という価格設定だけが先行している印象で、追加される装備は少し価格差に見合っていない。特別「D」を安く設定したと言えるのかもしれないが、この点がミライースの数少ない不満点かもしれない。

            当日は営業マンが不在で自由に乗ってきていいとのことだった。お客さんもいなかったのでほどほどに乗せてもらった。グレードは最上級の「G」である。この「G」はVSCをはじめ、本革巻ステアリングも装備されるもので、第一印象は当然ウレタンのステアリングよりもいい。また、これだけエントリーグレードと価格が違えば、プリウスのように価格の安い「D」と「L」とは遮音材などの質・量が異なる可能性があるため、全車で同じとは言い切れないが、おそらく「X」と「G」は静粛性を含めた乗り味は共通だろう。室内の印象は上級タイプはツートーンインパネを採用し、カラーリングの面やメーターパネルも上級タイプになるなどエントリーグレードとの違いはあるが、基本的にはそれほどのものではない。100万円以下が中心の軽自動車の域を出ていないし、ミラの上級モデル「X "リミテッド"」と比較すると1ランクダウン。オーディオやオートエアコン周辺の質感も下がっているし、シート表皮なども質素なものだ。この点も価格なりの内容でこれまで軽とは思えないとか、現行はミラとは思えないといった価格から得られる以上の満足度を追ってきたダイハツのクルマ作りは、現行ムーヴあたりから少しずつ方向転換が行われ、今は割り切り、低価格化に重点が置かれている。この点は多少一言申したい部分もあるが、ミライースのような低価格なクルマなら何も言うことはない。

            そうした先入観から予測すると、確かにミライースは燃費はいいのだろうけど、クルマとしては価格なりのものだろう。そういう冷めた目で見ていた私だが、国道に出ようと少し走ったところで、思わず唸ってしまった。以前あまりに良くて驚愕したとベタ褒めをしたソニカに通じる驚きが感じられたのである。もちろん、ソニカと比較すると静粛性や振動など及ばない部分はたくさんある。しかし、あの下駄車のミラがここまで良いのかという驚きと感心、これが100万円以下で買えるということは素直に評価しなければならない。ミライースは実用上では十分な静粛性を持っていると同時に、軽自動車らしさを感じてしまうシートやステアリングから伝わる振動や、バタバタした安っぽい乗り心地などが相当低減されていて非常にフラットでスムーズな乗り味となっている。正直いって価格もクラスも1つ上となるパッソよりもずっとまともなクルマなのだ。見た目の質感は確かに下がりつつあるが、ダイハツのクルマ作りに対するまじめな姿勢がしっかりと感じれるもので、このクルマは力作と呼んでいいと思う。

            搭載されるエンジンはイーステクノロジーを採用した第3世代ともいえるKF型。スペックは第2世代とほとんど変わらないが、ピークパワーが7,200回転から6,800回転に落とされており、低回転からフラットなトルクを発生されるようになった。これがCVTと組み合わさることで、昔の4ATタイプと違って、非常にスムーズな加速を実現している。ある程度の排気量のあるクルマには私は多段ATやデュアルクラッチトランスミッションのような機構が良いと思っているが、軽にはCVTがコスト的にも一番適していると思う。とにかく全体にわたって出てくる言葉は遮るものがないとか、なめらか、すべらか、ツルツル(?)こういったものである。一番利いているのはタイヤだと思われるが、この転がり抵抗の小さなヨコハマのブルーアースは、燃費だけでなくミライースが他の同クラスの車種よりも上質な乗り味を得ている最大の要因でもあると思う。ただ、ここまでスムーズに走るというのはタイヤだけでは実現できない。e:Sテクノロジーは最新の革新的な技術というよりも、当たり前のことをしっかりまじめに磨いたものである。エンジン、CVT、空気抵抗、軽量化、タイヤの転がり抵抗など。走ることに対する抵抗を減らしてやれば燃費は上がる。この抵抗を取り除けば、ここまでスルスル軽やかで"つっかえる"感じのない走りが実現できるのだ。そのダイハツの地道な努力が手に取るように感じられ、クルマ好き向きではないクルマに見えて、クルマ好きがニヤけるポイントのあるクルマなのだ。この軽やかさは当然動力性能のゆとりにも効く。ターボモデルはないが、730kgという軽いボデーなら1〜2人乗車がメインなら市街地の流れはリードできるくらいのゆとりがある。

            最後にエコアイドルは高い評価を与えられない。速度が7km/h以下になるとエンジンが停止するといった制御は進んでいるものの、始動が各社のアイドリングストップよりも1歩遅れているといった印象。ムーヴのものよりも多少は気にならなくなったが、相変わらずキュルキュルとエンジンをかける音がしており、精神的に負担になりそうである。最近はマーチやヴィッツでも「カッ」と一瞬でエンジンが始動する。この点は改善の余地がある。それからCVT周りの遮音対策は割り切っているようで室内にもキーンという音が響いているのはどうにかしたいところである。しかし、ミライースというクルマは価格は安いけれでも決して安物というイメージではなかった。見た目や内装のクオリティは価格なりの安いクルマという印象はあるが、走らせてみるとそうは感じない。メカニズムは上等なものなのだ。このレベルのクルマがこんな価格で買える。これは相当に恐ろしい。これがムーヴなどにも拡大採用されていくと、ますますコンパクトカーの存在意義が問われる。トヨタもヴィッツのようなクルマを作っていては軽にお客を取られてしまうだろう。もっと危機感を持たないといけない。
            |23:02| Daihatsu | comments(0) | trackbacks(0) | posted by carstadium ログピに投稿する
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