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三菱の国内撤退も笑い事にならない現状

私の住む町の三菱ディーラーが近く撤退する。県下で5店舗になり、正規ディーラーでは一番少なくなる。東西に長い島根ではユーザーの利便性からして厳しい。高齢者が多いのにディーラーまで2時間かけて行きたい人はいない。ちなみに島根はマツダが5店舗、スバルは6店舗。似たようなメーカーもあるじゃないかとも言える。しかし、これらは多少事情が異なるように思う。なぜなら、マツダやスバルは昔から規模が小さい。多くの店舗を設置できない前提で販売網を整備してきた。スズキ・ダイハツほどサブディーラー頼みではないが、それでも大きめの整備工場をオートザム店にしたり、外観からはスバル店にしか見えない協力店なるサブディーラーを開拓している。合わせれば実質10店舗くらいになる計算。手薄な地域ができる限りないようになっている。反面、三菱はかつて規模がそこそこあった。自前で十分やっていた。いい時はおまえらに頼る必要ねーとやってきて、困ったら助けて!!とそんな世の中都合よくはならない。

三菱の島根直近登録状況を見ると、はっきりデータでわかる軽が4月に19台。1店あたり3台強。4月は少ない時期と前置きしても、スズキ・ダイハツは300台以上で1店舗あたり20台以上出している。出すという言い方にしたのは卸した車も含むため。スズキ・ダイハツは50〜70%がサブディーラー(業販)による販売だ。三菱も業販がゼロということはない。そう考えると軽自動車王国の島根で、直販では1店舗1ヶ月3台未満の可能性が高い。店舗に営業が一人しかいないことはないから、営業マン単位だと1台売れてるのかどうか? 軽でこの成績は深刻だ。2009年時点で三菱ディーラーは750店舗だったそうだ。そうすると、現在の一般的な三菱ディーラーは月に1台のアウトランダーとデリカD:5を登録し、軽自動車を3〜5台届出するイメージ。あとミラージュかデリカD:2が1台あるかどうか。1店あたり3〜4人の営業を置き、整備工場にも3人は雇用して事務スタッフも1名配置。相当厳しいことは容易に想像できる。彼らの責任は少ないとすら思うが、一般的なディーラーの1/3かそれ以下の成績では閉鎖続きもやむをえまい。

ただ、閉鎖をすると貴重なお客さんとの距離が広がる。そこをカバーしようとすれば地元密着の整備工場的なモータース屋で販売するしかない。しかし、それも厳しい現状がある。これには近年の三菱販社統合による弊害がある。山陰の三菱ディーラーは西日本三菱という会社。調べると中国・四国だけでなく、大阪と九州の一部までカバーしている。ここまで広い地域を1つの販社でやっている例は聞いたことがない。結果各都道府県単位で作ってきた良さや信頼関係が壊れたという。新会社のやり方で統一されるようになり、融通が利かなくなり、無理を聞いてくれていたり、大目に見ていてくれていたことが、掌を返したように不可になり、これでずいぶん三菱車を売ってくれていたお店が離れていった例は私が聞くだけでも何店かある。そういうところは現在スズキ車の販売に力を入れている。これは他県でも同様で、極端な例は三菱ディーラーのように見える店構えなのに店内にはスズキ車が展示してあるらしい!! 普通なら気が引けるだろうが、まぁそのくらいやったるわ!!と思ってしまうくらい、納得いかない対応だったり、背に腹は変えられぬ事情もあるのだろう。

こうなると三菱は閉鎖した地域のお客を他銘柄に取られておしまいという悪循環を永遠に続ける。撤退した地域で積極的に売ってもらうには悲しいかなやっぱりお客にとって安いこと、お店にとって儲かることしかない。モータース屋の社長がディーラーでなく自分の店で車を買ってくれる大切なお客にスズキやダイハツを差し置いて、まず三菱を薦めることは考えにくい。私は三菱の車はもう大丈夫だと思っているが、やっぱり世間のイメージは厳しいのだ。けれど、圧倒的に安くできるならカタログを並べて商談してくれるかもしれない。今の三菱は取材する限りでは売れる商品を揃えて強気なスズキ・ダイハツと条件に大差ない。1台あたりの利益をきちんと確保するという方針は理解する。でも、それはマツダのように苦難乗り越え、お客が振り向いて初めて向かえるところ。とにかく赤字覚悟で乗ってもらうこと、売ってもらうことを第一に考えないといけないのではないか。おせっかいながら。でも、マツダはそうしていた。

しかし、三菱自動車がそこまでして国内販売を立て直そうと思っているのかは疑問が残る。今まで三菱の車をたくさん売っていた店が三菱離れするに至っている現状はそう簡単に戻らない。世界規模で見れば三菱車は評価もあれば需要もある。途上国も有望。私も三菱の車が良くないとは思わない。自動車産業はグローバルなもの。だから、三菱自動車は無くならないだろう。でも、このままだと日本から撤退を「そんなバカことあるか!!」と笑って済ませられないところまで来ていると感じる。少なくとも完全撤退は遠い将来としても、もう国内ではアルファロメオやシトロエンのように遠くまで買いに来てくれるファンだけに絞り、三菱店がない都道府県が登場することは、ありえるんじゃないかと思っている。
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