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新ジャンル? ダイハツキャストはどうか

ダイハツから新しい軽自動車「キャスト」が9月9日発売される。検索すれば内外装の画像も出回っている。大ヒットしているスズキハスラー対抗車をダイハツが準備!!の噂は伝わっていたが、1年9ヶ月での市場投入。これはハスラーを見て開発をスタートさせたと思われて仕方ない。基本的に中身が同じ軽自動車は2年以内に対抗車を投入できるからだ。しかし、さすがにためらいがあったと思われる。「スタイル」と呼ばれるシリーズを真ん中に置き、SUV風の「アクティバ」というシリーズ、そして「スポーツ」の3本立てで展開することになったのは予想外。なるほど!!「スタイル」を真ん中に置くことで、あくまでミラジーノの後継車であることをアピールする。なお、ミラジーノはダイハツコンパーノのオマージュらしい。

この「スタイル」はホンダN-ONEに似ているという指摘もある。はっきり言ってしまえば、N-ONEとハスラーのいいところを取ってきた車。しかし、ダイハツからすればN-ONEこそジーノみたいだということなんだろう。やられたらやり返す。それが大阪魂である。一方でジーノの後継と位置づけながらも、そもそもジーノの販売は特別多かったわけではないし、N-ONEも好きな人のための車になっている。だから本音は「スタイル」よりも「アクティバ」。なんとしてもハスラーを切り崩したい。それがこの車の使命である。ダイハツは昨年、ハスラーにかなりやられた。スズキが軽ナンバー1を奪還したのもハスラーのおかげだし、年度ナンバー1は死守するために半年くらいかなりの消耗戦を迫られた。おかげで未使用車があふれ、今年度の生産台数は散々なものである。自業自得であるが。ちなみに「スポーツ」はアルトターボRSのデビューを知ってからの企画だと思う。このくらいのことは半年でできる。ついでにこいつの対抗馬も用意しておこうということだ。確かにダイハツにスポーツ全面に出した軽はない(コペンは2人乗りなので除く)。

ただ、ダイハツがこの車を新ジャンルと呼ぶには相当無理がある。1車種で3つの顔を持つという意味では「新しい風」かもしれないが、ちょっと露骨に過ぎる。今の時代ユーザーも賢くなっている。ハスラーを超える売れ行きは難しいと思うがどうだろうか。何より今のダイハツ唯一にして最大の弱点がパワートレインの古さ。走りのストレスの無さではスズキやホンダに負けるし、実用燃費ではスズキの足元にも及んでいないのが現状。スマートアシストIIだって、3日天下で終わっている。そのため、今は価格や内装の良さで勝負するしかない。今回のキャストはハスラーよりも低価格で、インテリアのクオリティは明らかにスズキよりも上質に見える。そうした無党派層の心をつかむ点でダイハツは手強い。軽自動車を購入する層にとって大事なのはオリジナリティではないことをダイハツはよく知っていると思う。それにダイハツはトップバリューみたいなもの。ブランドというブランドもない。その辺りがなんとか生き残っていく危機感に迫られ、ブランド構築をせざるをえないスズキと、いざとなったらトヨタに吸収されればというダイハツの意識の違いにもなっている。

厳しい意見を書いたものの、私自身はキャスト嫌いじゃない。どこか田舎くささのあるスズキに対して、ダイハツの車はやはりちょっと都会的でキラキラして見える。軽は実用品だから車の成り立ち云々よりも出来が大事。ムーヴの乗り心地は素晴らしいものがあるし、これでエンジンやCVTが近い将来一新されて、スズキを超えて来たら、私はハスラーよりキャストの方がおすすめと言い出すと思う。もともと、ワゴンRに対するムーヴ、タントに対するパレット(スズキには両側スライドという提案が一応あったが)など、スズキとダイハツはお互いにトムとジェリーのようなもの。仲良くケンカをしながら、いい商品を作ってもらえたら、消費者として特に文句はない。
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