March 2017  |  01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31

新型スズキエスクード

新型エスクードは、思ったよりもコンパクト。軽自動車に頼らなくてもいいように、先代スイフトからスズキの車は変わった。その中で、より大きな車にもチャレンジしてきて生まれたのがエスクードとキザシだった。

でも、大きな車を売ろうと思っていたアメリカ市場からは撤退。GMとの関係でも続いていれば、車台やエンジンの共用化も可能だったかもしれないが、独り立ちしなければならなくなったため、選択と集中を迫られた。そこでスズキはコンパクトカーに全力を注ぐことを選んだ。つまり、今の段階では、エスクードくらいの大きさまで。エンジンも1.6L以下に絞り込む計画のようだ。

結果的にジムニーの兄貴分的な存在。つまり、本格的な成り立ちを持ったエスクードが、SX4の兄弟車(FF乗用車ベース)となってしまったから、「だからエスクードを買っていたのに」という人は、不満を持つだろう。仕方がない。けれど、当分は従来のモデルも2.4シリーズとして併売するので、最後のチャンス。もう一回従来型を買う人もいるかもしれない。

とはいえ、今世界的に見た目がこういう車が人気。悪路を走りには行きません!!という形だけのSUVが大人気。日本でもそうなってきた。だから企画としては人気のカテゴリにひとつの選択肢として用意するというのはストレートな判断。日本に導入されるのは1タイプ。FFと4WDが選べる。4WDはSX4で登場したALL GLIPという4つのモードが選べるシステム。4WDにはこだわりのあるスズキらしく、FFベースになっても4WDとしての性能は割り切っていないように思える。

今回半日お借りしたのは、4WDタイプ。走り出して思い出した。6速ATだということ。内装もシフトレバーも今までのスズキの小型車という感じなので、いつものCVTのような気持ちで走り出してしまう。ただ、まったり走っている間はATとかCVTとか気にならないくらいスムーズで、変速を意識させない。けれど、キビキビと走ろうとしたり、加速や減速を繰り返すような場面では、どのギアにしようか一瞬迷っているような間を感じてしまう。トヨタの車ではこういうことはない。でも、BMWとかVWとか、ヨーロッパの多段AT/DCTではこういうのよく感じる。もしかしたら、ヨーロッパ向けのシフトプログラムが影響するのかもしれない。

エスクードは全部周回遅れの車だ。これはSX4の時にも書いたと思うが、2010年くらいに発売されていてもおかしくない車。けれど、スズキらしい地味ながらもまじめに作っている感じがするんじゃないかという期待があった。それはSX4がけっこう良かったからである。SX4は派手ではなかったが、なかなかしっかりとした走り味がしていて、長く乗って疲れない。それに末永く付き合えそうな物の良さ感みたいなものがあった。乗り心地もフラットで高級感も感じたくらい。でも、エスクードはそのイメージがあって乗ったら、なんだか日本車っぽい。一番気になったのが乗り心地。突き上げや路面の形状を拾うのは別に悪くないのだが、カドがある。正直、ホンダヴェゼル、マツダCX-3のレベルまで来ていない。SX4より1クラス下の車に乗っているような感覚だ。

もうひとつそれを感じるのがエンジン音の大きさ。もちろん、うるさいというレベルではないものの、スイフトとかSX4と比較すると大きい。6ATで加速時の回転数が高めというのも関係しているのだろうか。それから、走行モード切替でスポーツを選んだ時、そこまで引っ張らなくていいというくらい変速してくれなかった。これは、やりすぎだと思う。ただ、動力性能としては不足を感じることもなかった。走っている最中に、そういえばこれ1.6Lしかないんだよねと思うくらい。排気量の割にトルクもあるし、乗りやすい。さらに、燃費も150kmくらい走って15.0km/Lと決して悪くない数字。意外に軽い。4WDでも1,210kgしかないのが効いているのだろう。

このクラスのSUVは世界的に見てもオシャレな車が増えている。エスクードのインテリアは実にそっけない。エクステリアだって普通。お世辞にもカッコいいと言えない。特にリヤビューはロシアの車みたい。パワートレインはハイブリッドでもターボでもない普通のガソリン。しかも、なんの目新しさもないもの。安全装備だって時代の流れは速く、2015年末に搭乗する車では、ミリ波レーダー単体かつ30km/h以下でしか停止できない自動ブレーキは1世代前のもの。レーダークルーズコントロールだって停止まで行ってくれないと評価されない。もちろんないよりあった方がいい。けれど、どうしても比較検討されてしまうとつらい。それからサイド&カーテンエアバッグがないのもマイナス。カラーのマルチインフォメーションディスプレイじゃないのも遅れている。

そんな新型エスクード。決して手を抜いているとは思わない。けれど、スイフトとかソリオくらいなら突出していい物が作れるけれど、このクラスくらいになってくると、まだライバルに届かない面があるのかもしれない。でも、エスクードになんの魅力もないわけではない。積雪地などでは本当にカタチだけのヴェゼルやジュークより、4WDとしては圧倒的に安心感があるし、これらの車と比べれば安全装備は充実している。それに価格だって、ライバルで言う最上級グレード並の内容だから、230万円ならお買い得である。ナビとスタッドレスをセットにして、値引きもがんばってもらえば260万円くらいで購入できる。ライバルだと300万円コースになるだろう。

あとはエスクードだけという何かが欲しい。それも早いうちに解決するかもしれない。先日ヨーロッパで1.4L直噴ターボモデルが発表されたからだ。220Nmという2.4L並みのトルクを発揮するダウンサイジングターボが、この車に乗ればかなり刺激的な走りも期待できる。コンパクトで速いのがいいという人はけっこういるのでは。早くこの仕様を国内にも投入してほしい。
pagetop