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新型プリウスの感想

年末に担当営業氏の誘い。新型プリウスに乗せてもらえることになった。うちのプリウスはデビュー前に契約し、いち早く乗ったものの、今回はしっかり確かめてから考えたいと伝えている。なぜなら、このくらいの性能を持った魅力的なエコカーはプリウスだけではなくなっているからだ。燃費だけで車を選ぶ時代はもう終わっている。

今回のプリウスはTNGA第一弾。豊田章男社長は常々もっといい車作りを口にしてきた。単にコストを低減する目的だけでなく、走りやデザインといった今までトヨタが後回しにしていた部分も気を配って作った点が今までと異なっている。欧州車の日本市場での好調ぶりや、国内でも走りに魅力のある車が売れていることを無視できなくなった面もあるだろう。

早速、走り出してみる。進化したことはすぐにわかった。何かが飛びぬけてすごいわけではない。目立ってどこか主張するわけではない。けれど、良い車ってそういう車なのだろうと思う。なぜなら、そういう車を作るためには作り手の意思が必要だからである。目指すものが明確にあるから車を構成する要素を統一した味でチューニングできる。だから出来上がった車は調和ができる。今までの経験では、そんな車は長く付き合える。新型プリウスは乗っていて「なんかこの車いいなぁ」と思える。近頃こういう調和の取れた車を作るのはマツダ、スバル。軽自動車ではスズキという感じ。でも、マツダやスバルみたいに顧客に車好きが多いメーカーより、トヨタは個性の主張は控えている。

調和の取れた車を作ることは決してコストアップにならないと私は思っている。必ずしも高い部品を使わなくても出来ることもあるはずだ。例えば、スズキアルトなんて80万円の車でも、良い調和ができる。それは開発陣にこういう車が作りたい!!という明確なイメージがあるからだ。同じコストでもそういうイメージがあるのとないのとでは、採用する部品も変わる。小さな積み重ねが車の出来を大きく左右する。今までトヨタはコスト最優先という感じがどうしてもしていた。要求するスペックを満たしていれば、あとは値段が安いかどうか。部品を集めて組み立てる。それでもそれなりに車はできてしまうようだが、いい車にはならない。今度のプリウスは少なくとも「もっといい車を作りたい」という意志が感じられる。そこがうれしい。これは昨年のアルファードからスタートして、シエンタと続き、このプリウスではっきり方向性が示された。これからのトヨタの車は期待できる。

新型プリウスは乗り心地がいい。トヨタのFFに共通するリヤの突き上げ感、段差やコーナーでの底付き感は伝統芸のようなものだったが、今度は解消されている。スピードを出さなくても気持ちよく走ることができる。これがすごく重要だと思う。私は形式だけで判断するのは嫌いなのだが、やはりリヤはダブルウィッシュボーンにしたことが大きい。純粋に動力性能という点では先代と違いは感じなかった。力強くなったとも非力になったとも思わない。今回モーターのスペックは落ちているものの、乗った感じには差がないと思う。でも、パワーモードにした時のトルク感は先代の方がある。

変わったとすれば、これまで時速17キロくらいでエンジンが始動することがほとんどだったのが、町乗りで28キロくらいまでモーター走行することがある点。バッテリーの回生能力もかなり向上。バッテリー残量はなかなか減らないし、復活の時間も早いからEV走行できる時間は確実に伸びていると思う。今までのプリウスが普通に使って22〜24.0km/Lくらいが一般的だったが、新型では25〜28.0km/Lくらい出るかもしれない。

新型プリウスには、トヨタセーフティセンスPが設定されている。「S」にも標準装備して欲しかったところだが、量販グレードの価格を上げないことや、レンタカー需要などもあり、オプション設定となっているのだろう。こちらは時速50キロあたりまで停止できる性能を持った自動ブレーキに加えて、全車速対応のレーダークルーズコントロールも装備しているから、年配ユーザーにとっては疲労軽減という意味でも非常に有用になるし、2017年から自動車保険料も安くなる見込み。ぜひ、オプションすべきだ。

最後に改めて買いなグレードをおさらいしたい。量販グレード「S」は先代より10万円上がったが、大幅に進化した乗り心地、LEDヘッドランプ、合成皮革巻ステアリング、カラーになったメーター類など装備の向上もあるので納得できる範囲だろう。上級グレード「A」は先代の「G」に匹敵し、比較すると約16万円の価格アップ。トヨタセーフティセンスP、カラーヘッドアップディスプレイ、ブラインドスポットモニター、シンプルインテリジェントパーキングアシストなどを追加しており、これも価格差分の装備は十分付いている。ただし、運転席パワーシートは削除されている。そういう意味では、一番価格差が少ないのが「S "ツーリングセレクション"」である。先代は17インチタイヤ+ホイール、本革巻ステアリング、LEDヘッドランプが付いたが、今回はLEDヘッドランプはベースに標準。代わりに合成皮革シート、快適温熱シートなど採用して、ちょっと内容が良くなっているのに3万円くらいしかアップしていない。見た目を重視するなら「S "ツーリングセレクション"」。そうではないなら「S」にLEDフロントフォグランプ、トヨタセーフティセンスP。必要に応じてナビレディセットをオプションすれば十分満足できる。

今度のプリウスはおすすめか? と聞かれたら「おすすめです」と答えたい。もちろん、マツダアクセラ、スバルレヴォーグをはじめ、同じ予算で買える車はたくさんある。プリウスが最善とは思わない。けれど、やっぱりこの装備と燃費&性能で250万円というのは他にない。
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