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軽自動車が一人負け -日本に普通車志向-

2015年の軽自動車の販売台数はかなり厳しい結果。前年を上回ることができたのはホンダN-BOXとスズキエブリイワゴンとその姉妹車たちくらい。エブリイワゴンはモデルチェンジに左右されにくい車とはいえ、月々2〜300台しか上乗せできなかったのは不本意な結果だろう。モデル末期ながら前年とほぼ同じ台数をキープしたN-BOXもスラッシュという新種を追加したためで、現状維持できた車はないと言える。

ダイハツはムーヴ、タント。スズキはワゴンR、スペーシア。こうした各社の主力商品は前年比60%台まで落ち込んだ。ホンダもN-WGNは同じくらい減少している。理由としては軽自動車税が4月から10,800円に上がったことを指摘する人もいるが、多少の影響はあったにしても、ここまで減らす理由にはならない。

では、全体ではどうだったのだろう。景気の影響で車が売れない1年だった可能性もある。そこで調べると2015年の新車登録台数は前年比106%となっている。3ナンバー車に限ればなんと118%という大幅増加。小型車から普通車(3ナンバー)に変えた人が多かったわけだ。同じように中古車登録台数も調べてみる。こちらも販売台数自体は前年と同レベルだが、普通車がプラスで小型が減少。中古車市場も普通車志向が強くなったことが読み取れる。大きな車が売れ出した1年だった言えそうだ。

つまり、惨敗だったのは軽自動車だけだった。私の住む山陰でも、長く付き合いある営業の方やモータースで日ごろお世話になっている人々とお互い情報交換をする。軽自動車がさっぱり売れなくなったと口を揃える。代わりに中古の普通車がよく売れたという。当然顔色は暗くない。軽の新車など儲からない。中古車の方が数段商売としてはいいだろう。しかも、それは軽の増税と関係なく、すでに昨年末から始まっていたというから興味深い。新卒の人すら普通車の中古が増え、中でもSUV系の人気高い様子。いろいろ付けて200万円近い軽がポンポン売れていた昨年と違って、景気が上向いていると実感できない地方でも、タントカスタムより、中古のエクストレイルやフォレスターみたいな、そういう風潮が起こった1年。つまり、維持費が高くてもそれをよしとする人が増え始めたのである。後半のガソリン価格低下も追い風になったかもしれないが、車なんてなんでもいいという若い人が減ってきたのは良いニュース。

軽自動車の中で大幅に販売を落としたのが、なんのおもしろみもない生活実用車というところにも要注目だ。ハスラーのような遊び心のある車はなんとか微減にとどまっている。N-BOXが前年同等を維持できたのも、N-BOXスラッシュのおかげである。軽自動車を購入する人も、心理的な変化が見られる。実感はないとしてもデータは正直なもの。深層では切り詰め生活から少し解放されつつある人が増えたのは事実なのであろう。

したがって、軽自動車は単に需要が減ったということだと思う。そして軽自動車を必要としている人は、5年前のエコカー補助金あたりから昨年までの間に一通り買い替えてしまった。そして軽自動車はその絶好調に背中を押され、多様で楽しみのある車を登場させ始めた。実はそれが落とし穴で、結果として生活実用車の魅力を削いでしまう結果になっている。ごく普通のワゴンRやムーヴといった車も大胆に変化すべき時期に来たということは間違いないが、軽自動車はゴールドラッシュ再来を願うより、今くらいが普通と捉えた方がいい。そう考えると、スズキが短期間に小型車を5〜6車種も国内投入してくる理由がわかる。改めて軽に頼るのは危険と痛感したのだろう。そうすると、軽で持ってるダイハツは今後けっこう厳しいかもしれない。

車好きにとっては、こうした流れは歓迎すべきだろう。ただ、私は軽には軽の魅力があるという考えは捨てない。これはこれでとても便利で気軽でいいものに違いない。廃れることはないと思っている。けれど、そこに異常に集中してしまうことは、日本の自動車文化の適切な進化を阻害する可能性もある。そのために自動車税を100ccあたり1,000円とし、軽自動車なんて廃止してしまえばいいと以前から提案しているが、自然と登録車に人々の目が向き始めた。税金を下げろ!!という主張は今後も続けるものの、これからバランスよく日本のクルマが楽しくなっていくことを期待している。
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