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軽商用車も大転換の様子

軽自動車メーカーにとって商用車は悩ましい。日本に軽バンや軽トラは無くてはならない。ダイハツやスズキは両方で年間10万台は売っている。販売店にとっても売れ筋。けれど、単純に10万台といっても今の形態では専用の車台や縦置きのエンジン、ミッションなどを必要としているので古いものを使い続けないと利益が出ない。軽乗用車は内外装は違えど中身は使いまわしているから、たった1車種のために作るには、専用のものが多すぎるというのは否定できない。

今まではそれでも改良を重ねてなんとかなったが、軽商用車にも高い衝突安全性が求められるようになってきたし、横滑り防止装置、さらに今後は自動ブレーキなど先進安全装備も義務化されそうである。スバルは選択と集中という目的があったが、三菱まで赤字になってしまうと軽商用の自社生産をやめてしまった。スズキはマツダ、日産、三菱という軽商用を扱うほとんどのメーカーで売ってもらえるため、これまで通りのレイアウトで今後の法規に対応できるよう大幅に刷新したが、ダイハツやホンダは現状のボリュームではなかなか厳しそうだ。

そのため、軽商用車もFFベースでやってみるという動きは加速しそうである。とりあえずバンからスタートするのだが、乗用車をベースに開発することになったという。確かに双方ともトラックはフルモデルチェンジしたが、バンは手が付けられていない。これまで室内の広さという点で課題があったが、N-BOXはバモスより背が高くて広さだって遜色ない。ウェイクなんてアトレーより広いレベル。どうしても1BOX型にこだわる必要はなくなってきたのかもしれない。

ダイハツは今年中にもFFの商用車を出してくるらしい。個人的には様子を見るためハイゼットカーゴも併売すると思うが、こうした車を使う人がみんなフルに空間が埋まるほどの荷物を積んでいるわけではないし、FFベースになれば乗用モデルに近い快適性やドライブ感覚も期待できる。燃費も良くなるはずだ。スズキは多段ATを起こすほどコストをかけられないので、考えられる最善の方法として、5AGSという苦肉の策(?)に出ているが、FFベースならCVTとの組み合わせも可能。乗用とベースを共用できれば、価格設定も抑えられるし、背の高さを変えるだけでミラバンと統合できる。ミラとハイゼットの中間的な高さの新ジャンル商用だってあり。

それに、ユーザーにとってはもうひとつメリットがある。私の住む山陰では奥地の人以外、自家用車はほとんどFF。特に困ることはない。4WDは少数派である。けれど箱バンは4WDが大半だ。年に何回か積もる雪に対して後輪駆動では困るからだ。しかし、FFなら中途半端に雪が降る地域のユーザーはわざわざ高いお金を支払って4WDを買わなくてもよくなる。そうなると、俄然魅力が出て来る。この動きに対してスズキがどういう手を打ってくるか。これはこれで興味がある。

それにしても箱バンがFF化したら、軽トラだけのために車台やエンジンを用意することはできなくなる。ここまでやるなら、将来的には軽トラもFFベースになると考えるのが自然な気がする。長年特に進化のなかったジャンルの車だけに、この転換点はそれなりに私は歓迎したいと思っている。どんな風になっていくか楽しみだ。
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