October 2017  |  01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31

スイフトハイブリッド - 真夏にわかる本当の価値 -

昨年末にデビューした新型スイフト。これまでマイルドハイブリッドのRSとMLに試乗しているが、感想を書いていないので、簡単にまとめる。新型では先代にあったとにかくガチッとした唯一無二のしっかり感。どっしりとした重厚な雰囲気は薄れて、なんだかスイフトらしさが無くなってしまった気がした。ちなみに、私は先代の方が好きだった。

 

しかし、乗り味にも時代の流れがある。現代は乗り心地を重視しつつ、運動性能も高いという方向に向かっているため、新型スイフトが狙いたかったところは理解できそうな気がする。だが、なんとなくまだ熟成が不足しているという印象もある。ちなみに、私はひょこひょことした縦の挙動が抑えられ、フラットな乗り心地を持っている「HYBRID ML」の方が好みだった。しかし、見た目はRSの方がいい。標準仕様のフロントグリルは口が開いたままの金魚みたいでいただけない。

 

そんなスイフトに半年でハイブリッドが追加。マイルドハイブリッドと何が違うか。簡単に言えばEV走行ができるか。マイルドハイブリッドはモーターのみで走行することはない。しかし、今回のハイブリッドはエンジンを停止させてEV走行のまま時速50キロで最大3分くらい走れる。このくらい走れれば、乗っていて「おお! ハイブリッドカーを買った!!」という満足感が得られる。確かにスズキのハイブリッドはEV走行の時間が長いのは事実。ただし、スズキらしいといえばそうだが、かなり割り切ったハイブリッドでもある。

 

これまでハイブリッドは一番燃料を消費する発進時に目を向けていた。モーターである程度加速するとなると、大きくてパワーのあるモーターがいる。それを動かすためにはバッテリーも大きくなる。それを発電するためにはエンジンも大きめのものが必要。足し算ばかりで果たしてそれは本当に効率的なのか。スズキは驚いたことに、他社が重視している発進時についてはエンジン主体にしてしまった。代わりに巡行時にエンジンを停止して、できる限りEV時間を長くすれば同様な効果が得られるのではないか。それはそれでいいと思う。巡行するだけなら大したパワーは必要ない。小さなモーターと小さな電池でできる。ソリオの時にも実感したが、このハイブリッドはEV走行をけっこうする。プリウスより長いと思う。お金も技術も限られる中で、どうやって効果を出し、ユーザーにハイブリッド車を買ったという実感をしてもらえるか。知恵を絞ったハイブリッドという感じがする。

 

この車は、ECOモードのボタンを押すと積極的にEV走行をする。アイドリングストップもする。通常モードだとエンジンが停止しにくい。その分、モーターのパワーを上乗せしてパワフルな走りもできる。最初はEV走行が多いECOモードを標準モードにしていないことを強気だなぁと思った。そうした方がカタログ値は良くなるだろう。しかし、真夏だからわかった。スイフトハイブリッドのエアコンは電動式ではない。エンジンが停止していると送風になってしまう。ECOモードは真夏に使えない。エアコンの関係でECOモードをノーマルにはできなかったのだと思う。

 

走りに関しては、5AGSとなったものの、これは驚くほど熟成が進んでいる。Dレンジからの発進。駐車時にRレンジに入れたときのタイムラグも皆無。ネガティブな要素はほぼ無くなったと思われる。知らなければ通常のATとの違いはわからないだろう。また、モーターが上乗せされる分、1.2Lガソリンよりはゆとりある走りも味わえる。乗り味に関しては、あまり違いは感じられなかったのだが、コンパクトで軽快で「キビキビ」という言葉がとても似合う快活な車である。エコカーとはいえ、走る楽しさを犠牲にはしたくないという思いはわかる。

 

しかし、私はこのハイブリッドをおすすめはしない。問題は価格だ。ガソリン車プラス15万円までなら全然いい。けれど、「XG」と「ハイブリッドSG」の価格差は32万円。「XL」と「ハイブリッドSL」の価格差は40万円(セーフティパッケージ付)。アクアやフィットと同じ価格帯。この価格に見合うだけの価値は、このハイブリッドにあるというのは少し厳しい。なぜなら、真夏だとエアコンは必須。エアコンを優先させると標準モードで走るはかなく、こうなるとEV走行する時間は極端に減る。マイルドハイブリッドに近いものとなってしまう。だったらマイルドハイブリッドでいいんじゃないかと思うわけだ。

 

スズキの登録車販売は昨年10万台を超えた。今やマツダやスバルより売れているレベルなのだ。けれど、私はあえて言いたい。軽自動車では一流のスズキも、まだ登録車では二流だと思う。商品はすごくいい。自信を持っておすすめできる。そこは今まで最大限賞賛しているし、私自身もオーナーである。けれど、多くの車にあまり興味のない人たちが、トヨタやホンダの車と並べてスズキの車を検討してくれるかというと、そこまではいってない。その上、現在スズキの小型車に乗っている人だって、同じ値段ならトヨタ車買うよという人も少なからずいると思う。ブランド力が確固たるところまでいかない限り、スズキの登録車に割安感がなくなったら一気に落ち込むと予想する。マツダが今、そういう状況になっている。せっかくいい車を作っているスズキなのだから、焦らず時間をかけて小型車の販売を伸ばしていってもらいたいと願う。

 

ちなみに、ガソリンとマイルドハイブリッドのスイフトはおすすめです!!

pagetop